いつもの買い物にフェアトレードを:具体的な商品例と貢献の仕組み
社会問題や倫理的な消費に関心はあるものの、日々の買い物で具体的にどのような行動を取れば社会貢献につながるのか、フェアトレードという言葉は知っていても、その仕組みや効果が分かりにくいと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、いつもの買い物にフェアトレードを取り入れる具体的な方法と、あなたの選択が世界の生産者の生活向上や社会正義の実現にどのように貢献するのか、その仕組みを身近な商品例を交えて解説します。
フェアトレードの基本的な仕組みをおさらい
フェアトレードとは、開発途上国の弱い立場の生産者や労働者との公平な取引を目指す貿易の仕組みです。主な特徴は以下の点です。
- 公正な価格での買い付け: 国際市場の価格変動に左右されすぎず、生産者が持続的に生活を営める適正な価格で買い付けが行われます。これにより、彼らは将来への計画を立てやすくなります。
- 長期的な取引: 一過性の取引ではなく、継続的な関係を築くことで生産者は安定した収入を得ることができ、品質向上や新しい技術導入への投資が可能になります。
- コミュニティ支援金の支給: フェアトレード認証商品の場合、通常の取引価格に上乗せして「フェアトレード・プレミアム」と呼ばれる資金が生産者組合に支払われます。この資金は、教育、医療、インフラ整備など、コミュニティ全体の発展のために使われます。
- 労働環境や環境への配慮: 安全な労働環境の確保、児童労働や強制労働の禁止、環境負荷の低い持続可能な農法などが促進されます。
これらの仕組みが、生産者の貧困削減、教育機会の創出、女性のエンパワーメント、環境保全といった形で、社会正義の実現に貢献していきます。
身近なフェアトレード商品とその貢献の仕組み
では、具体的にどのような商品でフェアトレードを選ぶことができるのでしょうか。私たちの日常に溶け込んでいる代表的な商品とその背後にある貢献の仕組みを見てみましょう。
コーヒー
私たちが普段飲んでいるコーヒーの多くは、開発途上国の小規模農家によって栽培されています。市場価格が不安定なため、農家は価格暴落のリスクに常に晒されています。
フェアトレードのコーヒーを選ぶことは、農家が適正な価格で買い取られることを意味します。これにより、彼らは不安定な市場に翻弄されることなく、安定した収入を得ることができます。また、フェアトレード・プレミアムがコミュニティに投資され、学校建設によって子どもたちが教育を受けられるようになったり、医療施設の整備で健康が守られたりといった具体的な成果につながっています。
チョコレート(カカオ)
チョコレートの原料であるカカオも、多くの開発途上国で生産されています。カカオ農園では、貧困ゆえに児童労働が問題となるケースや、環境に負荷をかける集約的な栽培が行われることがあります。
フェアトレードのカカオを選ぶことは、農家への公正な対価支払いを通じて、彼らが子どもを学校に通わせる経済的余裕を持つことを支援します。また、環境に配慮した持続可能な農法の導入が促進され、森林破壊を防ぎ、生態系を守ることにもつながります。女性がカカオ生産において重要な役割を担っている地域では、女性の組合活動が支援され、経済的自立や社会参加が進むといった効果も見られます。
バナナ
スーパーなどで手軽に買えるバナナも、大規模なプランテーションでの労働問題や環境問題が指摘されることがあります。
フェアトレードのバナナは、労働者の安全や権利が守られているか、環境基準が満たされているかなどを確認しながら取引されます。これにより、プランテーションで働く人々が適正な賃金を受け取り、安全な環境で働けるよう支援されます。また、農薬使用の削減や廃棄物の適切な管理など、環境保全への取り組みも促進されます。
紅茶、コットン製品など
その他にも、紅茶、スパイス、砂糖、コットンを使った衣類やタオルなど、様々なフェアトレード商品が私たちの身の回りには存在します。それぞれの産地や商品特性に応じて、生産者の収入向上、教育支援、医療支援、環境保護、伝統技術の継承など、多様な形で貢献がなされています。
信頼できるフェアトレード商品を見分けるには
「フェアトレード」を謳っている商品の中には、独自の基準に基づいているものもあります。信頼性の高いフェアトレード商品を選びたい場合は、国際的な基準に基づいた認証ラベルを目安にするのが有効です。
代表的なものとしては、以下のような認証ラベルがあります。
- 国際フェアトレード認証ラベル (FAIRTRADE International): 最も広く知られている認証の一つで、農産物、食品、手工芸品など幅広い商品に付与されています。生産者への公正な対価や労働条件、環境基準などが厳格に定められています。
- WFTOプロダクトラベル (World Fair Trade Organization): 製品自体ではなく、製品を生産・販売する団体がWFTOの定めるフェアトレード10原則を順守していることを示すラベルです。
これらのラベルが付いている商品は、一定の基準を満たしたフェアトレードであることが保証されています。商品パッケージや販売店の情報などを確認する際に、これらのラベルを探してみると良いでしょう。
購入できる場所
フェアトレード商品は、以前に比べてずっと手に入りやすくなっています。
- オンラインショップ: フェアトレード専門のオンラインショップや、大手通販サイトでも多くのフェアトレード商品が扱われています。
- スーパーマーケットやコンビニエンスストア: 一部のコーヒー、チョコレート、バナナなどは、身近な店舗でも見かけるようになりました。
- 生協(生活協同組合): フェアトレード商品を積極的に扱っている生協が多くあります。
- 雑貨店や専門店: フェアトレードの衣料品、アクセサリー、雑貨などを扱う専門店もあります。
いつもの買い物の際に少し意識して探してみることで、新しい発見があるかもしれません。
まとめ
日々の買い物でフェアトレード商品を選ぶという小さな行動は、地球の裏側で暮らす生産者の生活を支え、彼らのコミュニティを持続的に発展させるための大きな力となります。あなたが購入する一杯のコーヒーや一枚のチョコレートが、貧困という課題に対し、具体的な解決策をもたらす一歩となるのです。
フェアトレードの仕組みや、認証ラベルの意味を知ることで、より意識的に、そして信頼できる商品を選ぶことができるようになります。ぜひ、今日の買い物から、フェアトレードを始めてみませんか。